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worktree から TUI とデスクトップアプリを動かす

目次

Python のコア部分は、どの git worktree からでも問題なく動きます。cd して hermes と打つだけです。ところが TypeScript 側の 2 つの画面はそうはいきません。ui-tui/ と apps/desktop/ はどちらも中身の入った node_modules を必要とし、worktree ごとに npm ci をやり直すのは時間がかかるうえ、checkout しているブランチの数だけ数ギガバイトを重複して抱えることになります。

htui と hgui は、その穴を埋めるための 2 つのシェル関数です。どちらも いま作業している worktree から 画面を起動しつつ、node_modules は正となる 1 つの checkout から借りてきます。使い捨てのブランチにかかるコストが、インストールではなくシンボリックリンク 1 本で済むわけです。

これらは開発者向けの便利道具であって、製品として同梱されるコマンドではありません。~/.zshrc に置き、パスは自分の環境に合わせて直してください。

依存関係を共有する仕組み

ひとつの checkout を 依存関係用の checkout と決めます。実際に npm install を走らせるのはそこだけです。ほかの worktree はそこにリンクし、自分のロックファイルが食い違ったときにだけ、その worktree の中でインストールし直します(依存関係を上げたブランチが、古いパッケージのまま黙って動いてしまってはいけないからです)。

flowchart TD
    A[htui / hgui in a worktree] --> B{package-lock.json<br/>matches deps checkout?}
    B -- yes --> C[symlink node_modules<br/>from deps checkout]
    B -- no --> D[local npm ci<br/>in this worktree]
    C --> E[launch surface]
    D --> E

正となる checkout は、2 つの環境変数で指定します。

変数 意味
HERMES_MAIN_CHECKOUT 依存関係用の checkout。node_modules の実体が置かれ、バックエンドを動かす .venv/bin/python もここのものを使います。
HERMES_GUI_DEPS_CHECKOUT デスクトップ側の依存関係(apps/desktop/node_modules)が置かれた場所。既定では HERMES_MAIN_CHECKOUT と同じで、デスクトップの依存関係を別の場所に置いているときだけ上書きします。

どちらも Hermes 自身が読む変数ではなく、これらの関数の中だけで使うものです。Hermes が実際に読む変数は 環境変数 にまとめてあります。

htui — worktree から TUI を動かす

Ink の TUI には、もともと開発用の経路があります。hermes --tui --dev は、ビルド済みのバンドルではなく TypeScript のソースを tsx 経由で実行します。htui はその一行ラッパーで、実行先をいま作業している worktree の ui-tui/ に向けます。

htui() {
  local root
  root="$(_hermes_root)" || { echo "htui: not in a Hermes checkout" >&2; return 1; }
  ( cd "$root" && PYTHONPATH="$root" \
      "$HERMES_MAIN_CHECKOUT/.venv/bin/python" -m hermes_cli.main --tui --dev "$@" )
}

--dev はソースからコンパイルするため、ルートのロックファイルが一致していれば HERMES_MAIN_CHECKOUT から ui-tui/node_modules をリンクし、一致しなければその場でインストールします(_hermes_root とリンク用の関数 を参照)。

hgui — worktree からデスクトップアプリを動かす

デスクトップアプリには、リポジトリのルートと apps/desktop/ の両方の依存関係、Vite のサーバー、Python のバックエンドが必要です。標準の npm run dev は Vite をポート 5174 に固定します。さらに Electron は、既定で CDP のポート 9222 を使い、ユーザーデータのディレクトリに対して多重起動を防ぐロックをかけます。Vite のポートを変えるだけでは、デスクトップを 2 つ動かせません。

次の zsh の例では、起動ごとにスロット(HGUI_SLOT、既定は 0)をはっきり割り当てます。ターミナルごとに別のスロットを使ってください。下の共通の関数を使い、lsof が必要です。

hgui() (
  local root deps desktop slot="${HGUI_SLOT:-0}" vite_port cdp_port port
  [[ "$slot" == [0-9] ]] || { print -u2 'hgui: HGUI_SLOT must be 0-9'; return 1; }
  vite_port=$((5174 + slot))
  cdp_port=$((9222 + slot))
  for port in "$vite_port" "$cdp_port"; do
    if lsof -nP -t -iTCP:"$port" -sTCP:LISTEN >/dev/null 2>&1; then
      print -u2 "hgui: port $port is busy; choose another HGUI_SLOT"
      return 1
    fi
  done

  root="$(_hermes_root)" || { print -u2 'hgui: not in a Hermes checkout'; return 1; }
  deps="${HERMES_GUI_DEPS_CHECKOUT:-$HERMES_MAIN_CHECKOUT}"
  desktop="$root/apps/desktop"

  if cmp -s "$root/package-lock.json" "$deps/package-lock.json"; then
    _hermes_link_deps "$desktop" "$deps/apps/desktop" || return 1
    _hermes_link_deps "$root" "$deps" || return 1
  else
    ( cd "$root" && npm ci ) || return 1
  fi

  cd "$desktop" || return 1
  export PATH="$desktop/node_modules/.bin:$root/node_modules/.bin:$PATH"
  export HERMES_DESKTOP_HERMES_ROOT="$root"
  export HERMES_DESKTOP_PYTHON="$HERMES_MAIN_CHECKOUT/.venv/bin/python"
  export HERMES_DESKTOP_CWD="$root"
  export HERMES_DESKTOP_DEV_SERVER="http://127.0.0.1:$vite_port"
  export HERMES_DESKTOP_CDP_PORT="$cdp_port"
  export HERMES_DESKTOP_USER_DATA_DIR="${XDG_CACHE_HOME:-$HOME/.cache}/hermes-hgui/slot-$slot"
  # A userData override would otherwise also relocate the agent's home.
  export HERMES_HOME="${HERMES_HOME:-$HOME/.hermes}"
  export XCURSOR_SIZE=24

  # Mirror the dev scripts, replacing their fixed ports. No repo edits needed.
  concurrently -k -n "vite,electron" \
    "node scripts/assert-root-install.mjs && npm run clean:renderer && vite --host 127.0.0.1 --port $vite_port --strictPort" \
    "tsc --build tsconfig.electron.json && wait-on http://127.0.0.1:$vite_port && node scripts/bundle-electron-main.mjs --dev && electron ."
)

たとえば、HERMES_MAIN_CHECKOUT を設定して共通の関数を読み込んだあと、次のように使います。

# Terminal 1: main checkout
cd "$HERMES_MAIN_CHECKOUT"
HGUI_SLOT=0 hgui

# Terminal 2: an existing worktree
cd /path/to/hermes-worktree
HGUI_SLOT=1 hgui

スロット 0 はポート 5174/9222 を、スロット 1 は 5175/9223 を使います。スロットは呼び出す側が決めるもので、取り合いにならないよう自動で確保されるわけではありません。同時に起動するときは、必ず別々のスロットを使ってください。使用中のポートは断るだけで、先に使っている側を追い出すことはありません。同じ checkout から起動するとビルドの出力を共有してしまうので、別々にビルドしたいときは別々の checkout を使ってください。

変数 hgui での役割
HGUI_SLOT この関数だけが使うスロット番号で、0〜9 です。Hermes の設定ではありません。
HERMES_DESKTOP_HERMES_ROOT パッケージ版や PATH 上の実行環境ではなく、この worktree からバックエンドを動かします。
HERMES_DESKTOP_PYTHON メインの checkout の Python 環境を再利用します。.venv ではなく venv を使っている環境では書き換えてください。
HERMES_DESKTOP_CWD デスクトップで新しく始める作業の起点を、その worktree にします。
HERMES_DESKTOP_DEV_SERVER Electron を、このインスタンス用の Vite サーバーに向けます。
HERMES_DESKTOP_CDP_PORT インスタンスごとに、画面描画側のデバッグ用ポートを分けます。
HERMES_DESKTOP_USER_DATA_DIR Electron の多重起動防止ロック、ブラウザーの保存領域、デスクトップの設定を分けます。
HERMES_HOME Electron のユーザーデータの場所を変えても、エージェントのホームが動かないように明示します。

どのスロットも、最初はまっさらなデスクトップの設定で始まり、次に起動したときはその設定を覚えています。この例では、動作中のアプリからブラウザーの保存領域、保存した画面の位置、バックエンドの持ち主の情報は引き継ぎません。

アプリは普通に終了するか、起動したターミナルで Ctrl-C を押してください。concurrently -k が自分の子コマンドを管理し、バックエンドの停止は Electron が受け持ちます。全体に効く killport や pkill electron、serve/dashboard --port 0 のプロセスをまとめて止める処理は足さないでください。別のインスタンスまで終了させてしまうことがあります。この関数の古い版から置き換える場合は、以前の _hermes_gui_cleanup の trap を取り除いてください。

共通の関数

どちらの関数も、いる checkout を突き止めるやり方と、依存関係をリンクするやり方は同じです。

# The enclosing worktree, verified as a real Hermes checkout.
_hermes_root() {
  local root
  root="$(git rev-parse --show-toplevel 2>/dev/null)" || return 1
  [[ -f "$root/hermes_cli/main.py" && -d "$root/ui-tui" ]] && print -r "$root"
}

# Symlink node_modules from the deps checkout — never over an existing tree.
_hermes_link_deps() {
  local target="${1%/}" source="${2%/}"
  [[ -d "$source/node_modules" ]] || return 1
  [[ -e "$target/node_modules" ]] || ln -s "$source/node_modules" "$target/node_modules"
}

あわせて読む

  • Git の worktree — これらの関数が土台にしている隔離の考え方
  • TUI — hermes --tui --dev と、HERMES_TUI_DIR を使うビルド済みの経路
  • デスクトップアプリ — ソースからのビルドと、バックエンドを解決する順序
  • apps/desktop/README.md — 開発サーバー、サンドボックス用スクリプト、パッケージング
  • 環境変数 — Hermes が読む HERMES_* 変数の一覧