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Comps Analysis

目次

Excel で類似企業比較の評価ブックを作ります。

skill の情報

提供元 追加インストール型 — hermes skills install official/finance/comps-analysis で入れます
パス optional-skills/finance/comps-analysis
バージョン 1.0.0
作者 Anthropic(Nous Research が移植)
ライセンス Apache-2.0
対応プラットフォーム linux, macos, windows
タグ finance, valuation, comps, excel, openpyxl, modeling, investment-banking
関連 skill excel-author, pptx-author, dcf-model, lbo-model

参考: SKILL.md 全文

動作環境

この skill は ヘッドレスの openpyxl を前提にしています。つまり、ディスク上に .xlsx ファイルを書き出す形です。 セルの色づけ、数式、名前付き範囲、感度分析テーブルの書き方は excel-author skill の流儀に合わせてください。 納品前に再計算します: python /path/to/excel-author/scripts/recalc.py ./out/model.xlsx

類似企業比較分析

⚠️ 重要: データの取得先の優先順位(最初に読んでください)

必ず次の順でデータの取得先を選んでください。

  1. まず MCP のデータソースがあるか確認する - S&P Kensho MCP、FactSet MCP、Daloopa MCP が使えるなら、財務情報と株価情報はそれらだけから取ります
  2. 上記の MCP が使えるなら Web 検索は使いません
  3. MCP がどれも使えないときに限り、Bloomberg ターミナル、SEC EDGAR の提出書類、その他の機関投資家向けの情報源を使います
  4. Web 検索を主たる情報源にしてはいけません - 機関投資家水準の分析に必要な正確さ、来歴の追跡、信頼性が足りません

なぜ大事か: MCP の情報源は、出典表示付きで検証済みの機関投資家水準のデータを返します。Web 検索の結果は古かったり、不正確だったり、財務分析には頼りにならないことがあります。


概要

この skill は、事業の指標、評価倍率、統計的なベンチマークを組み合わせた、機関投資家水準の類似企業比較分析の作り方をエージェントに教えます。成果物は構造化された Excel/スプレッドシートで、同業他社との比較を通じて投資判断を助けます。

参考資料と文脈づけ:

類似企業比較分析の例は examples/comps_example.xlsx にあります。この skill ディレクトリにあるこうした例を使うときは、次のように賢く使ってください。

例を使ってよい場面:

  • 構造の階層をつかむ(区画がどう流れているか)
  • 求められる厳密さの水準をつかむ(統計の深さ、記録の丁寧さ)
  • 原則を学ぶ(見出しの明快さ、数式の透明性、来歴の追跡)

例を使ってはいけない場面:

  • 書式や指標をそのまま複製する
  • 文脈を考えずにレイアウトを写す
  • 読み手が誰であれ同じ見た目を当てはめる

必ず先に自分に問いかけてください:

  1. 「決まった書式はありますか。それともテンプレートの形に寄せましょうか」
  2. 「読み手は誰ですか」(投資委員会、取締役会向けの資料、手早く見る早見表、詳細なメモ)
  3. 「中心にある問いは何ですか」(バリュエーション、成長分析、競争上の立ち位置、効率)
  4. 「どういう文脈ですか」(M&A の検討、投資判断、業界のベンチマーク、実績のレビュー)

個別の事情に合わせて調整する:

  • 業界の文脈: 大型テック企業と新興 SaaS スタートアップでは、見るべき指標が違います
  • 業界固有の要件: 関係する指標は早めに足します(テックならクラウドの ARR、法人顧客数、開発者エコシステムなど)
  • その企業がどれだけ知られているか: 有名企業なら背景説明は減らし、差分の分析に重心を置けます
  • 判断の種類: M&A と継続的なポートフォリオ監視では力点が違います

中心にある考え方: テンプレートの原則(明快な構造、統計的な厳密さ、透明な数式)は使いつつ、実行のしかたは文脈に応じて変えます。目指すのは機関投資家水準の分析であって、機関投資家っぽく見えるテンプレートではありません。

利用者が示した例や明示した好みは、常に既定より優先されます。

中心にある考え方

「まず正しい構造を作る。物語はそのあとデータが語ってくれる」

何が大事かを戦略的に考えざるを得ない見出しから始め、きれいなデータを入れ、透明な数式を組めば、統計は自然と立ち上がってきます。良い比較表は、作っていない人が開いた瞬間に読めるものです。


⚠️ 重要: べた書きではなく数式で + 一段階ずつの確認

べた書きではなく数式で:

  • 計算で出る値(マージン、倍率、統計量)は、入力セルを参照する Excel の数式にします。計算済みの数値を貼り付けてはいけません
  • Python/openpyxl でシートを組むときは cell.value = "=E7/C7"(数式の文字列)と書きます。cell.value = 0.687(計算結果)ではありません
  • べた書きしてよいのは生の入力データ(売上高、EBITDA、株価など)だけで、そのひとつひとつに出所を書いたセルのコメントを付けます
  • 理由: 入力が変わればモデルは自動で更新されなければなりません。べた書きのマージンは、いつ牙をむくかわからないバグです

利用者と一緒に、一段階ずつ確かめる:

  • 構造を組んだら → データを入れる前に、見出しのレイアウトを見せます
  • 生の入力を入れたら → 入力のブロックを見せ、出所と期間を確認してから数式に進みます
  • 事業指標の数式を組んだら → 計算されたマージンを見せ、妥当かどうか一緒に確かめてからバリュエーションに移ります
  • 評価倍率を組んだら → 倍率を見せ、無理のない値か確認してから統計を足します
  • シートを最後まで一気に組んで見せるのはやめてください。区画ごとに確認して、誤りを早く拾います

セクション1: 資料の構造と初期設定

ヘッダーのブロック(1〜3行目)

Row 1: [ANALYSIS TITLE] - COMPARABLE COMPANY ANALYSIS
Row 2: [List of Companies with Tickers] • [Company 1 (TICK1)] • [Company 2 (TICK2)] • [Company 3 (TICK3)]
Row 3: As of [Period] | All figures in [USD Millions/Billions] except per-share amounts and ratios

なぜ大事か: 開いた瞬間に文脈が伝わります。何を見ているのか、いつ作られたのか、数字をどう読めばいいのかが誰にでもわかります。

見た目の決めごと(任意 — 利用者の好みや持ち込みのテンプレートが常に優先します)

重要: これらはあくまで既定の提案です。常に次の順で優先してください。

  1. 利用者が明示した書式の好み
  2. 持ち込まれたテンプレートファイルの書式
  3. 会社・チームのスタイルガイド
  4. ここに書いた既定(他に手がかりがない場合だけ)

フォントと文字組みの提案:

  • フォント: Times New Roman(読みやすく、業界で広く使われています)
  • 文字サイズ: データセルは 11pt、見出しは 12pt
  • 太字: 区画見出し、企業名、統計量のラベル

既定の色と網掛け — 青とグレーの落ち着いた配色(少ないほど良い):

  • 抑えること — 青とグレーだけにします。緑・オレンジ・赤や複数のアクセント色は入れません。整った比較表は全部で3〜4色です
  • 区画見出し(「OPERATING STATISTICS & FINANCIAL METRICS」など):
    • 濃い青の背景(#1F4E79 または #17365D のネイビー)
    • 白の太字
    • 全列にわたって行ごと塗ります
  • 列見出し(「Company」「Revenue」「Margin」など):
    • 淡い青の背景(#D9E1F2 かそれに近い薄い青)
    • 黒の太字
    • 中央そろえ
  • データ行:
    • 企業データの背景は白
    • 数式は黒の文字、べた書きの入力は青の文字
  • 統計の行(Maximum、75th Percentile など):
    • 淡いグレーの背景(#F2F2F2
    • 黒の文字、ラベルは左そろえ
  • 配色はこれで全部です: 濃い青 + 淡い青 + 淡いグレー + 白。利用者のテンプレートに別の指定がなければ、他の色は使いません

書式の決めごとの提案:

  • 小数点の桁数:
    • パーセント: 小数1桁(12.3%)
    • 倍率: 小数1桁(13.5x)
    • 金額: 小数なし、桁区切りあり(69,632)
    • パーセント表示のマージン: 小数1桁(68.7%)
  • 罫線: なし(すっきりした見た目にします)
  • そろえ方: 指標はすべて中央そろえにして、見た目を統一します
  • セルの寸法: 列幅はすべて同じに、行の高さもそろえます(整った見た目のグリッドになります)

補足: 利用者がテンプレートファイルを渡してきた場合や、別の書式を指定した場合は、そちらに従ってください。


セクション2: 事業指標と財務指標

中心となる列(まずはここから)

  1. Company - 表記をそろえた企業名
  2. Revenue - 規模の指標(文脈に応じて LTM でも四半期でも通期でもかまいません)
  3. Revenue Growth - 前年同期比の変化率
  4. Gross Profit - 売上高から売上原価を引いたもの
  5. Gross Margin - 売上総利益 / 売上高(収益性の土台)
  6. EBITDA - 利払い前・税引前・減価償却前の利益
  7. EBITDA Margin - EBITDA / 売上高(本業の効率)

追加してもよい列(業界や目的に応じて選びます)

  • Quarterly vs LTM - 季節性が効くなら両方入れます
  • Free Cash Flow - 設備投資の重い事業や SaaS 向け
  • FCF Margin - フリーキャッシュフロー / 売上高(現金を生む効率)
  • Net Income - 成熟して利益の出ている企業向け
  • Operating Income - D&A のばらつきが大きい事業向け
  • CapEx metrics - 資産の重い業界向け
  • Rule of 40 - SaaS 専用(成長率 % + マージン %)
  • FCF Conversion - 利益の質を見る分析向け(上級)

数式の例(7行目を例にしています)

// Core ratios - these are always calculated
Gross Margin (F7): =E7/C7
EBITDA Margin (H7): =G7/C7

// Optional ratios - include if relevant
FCF Margin: =[FCF]/[Revenue]
Net Margin: =[Net Income]/[Revenue]
Rule of 40: =[Growth %]+[FCF Margin %]

鉄則: どの比率も [なにか] / [売上高] か [なにか] / [このシート上のなにか] の形にします。単純に保ってください。

統計のブロック(企業データの下)

重要: 比較できる指標(比率、マージン、成長率、倍率)にはすべて統計の数式を足してください。

[Leave one blank row for visual separation]
- Maximum: =MAX(B7:B9)
- 75th Percentile: =QUARTILE(B7:B9,3)
- Median: =MEDIAN(B7:B9)
- 25th Percentile: =QUARTILE(B7:B9,1)
- Minimum: =MIN(B7:B9)

統計が必要な列(比較できる指標):

  • 売上高成長率 %、売上総利益率 %、EBITDA マージン %、EPS
  • EV/Revenue、EV/EBITDA、P/E、配当利回り %、ベータ

統計が要らない列(規模の指標):

  • 売上高、EBITDA、純利益(実額は企業の規模でばらつきます)
  • 時価総額、企業価値(規模の違う企業のあいだでは比べられません)

補足: 企業データと統計の行のあいだには、空行を1行だけ入れて視覚的に区切ります。「SECTOR STATISTICS」や「VALUATION STATISTICS」といった見出し行は足さないでください。

四分位が効く理由: 平均だけでなく分布が見えます。75パーセンタイルの倍率は、「プレミアムが乗った」企業がどのあたりで取引されているかを教えてくれます。


セクション3: 評価倍率と投資指標

中心となる評価の列(まずはここから)

  1. Company - 事業指標の区画と同じ並び順
  2. Market Cap - 現在の時価総額
  3. Enterprise Value - 時価総額 ± 純有利子負債/純現金
  4. EV/Revenue - 売上1ドルあたり市場がいくら払っているか
  5. EV/EBITDA - 利益1ドルあたり市場がいくら払っているか
  6. P/E Ratio - 純利益に対する株価の水準

追加してもよい評価指標(文脈に応じて選びます)

  • FCF Yield - フリーキャッシュフロー / 時価総額(現金に着目する分析向け)
  • PEG Ratio - PER / 成長率(成長企業向け)
  • Price/Book - 時価と簿価の比較(資産の重い事業向け)
  • ROE/ROA - リターンの指標(収益性の比較向け)
  • Revenue/EBITDA CAGR - 過去の成長率(トレンド分析向け)
  • Asset Turnover - 売上高 / 総資産(事業効率向け)
  • Debt/Equity - レバレッジ(資本構成の分析向け)

大事な原則: その業界で意味のある中心的な倍率を3〜5個入れます。出せるからといって、あらゆる指標を並べないでください。

数式の例

// Core multiples - always include these
EV/Revenue: =[Enterprise Value]/[LTM Revenue]
EV/EBITDA: =[Enterprise Value]/[LTM EBITDA]
P/E Ratio: =[Market Cap]/[Net Income]

// Optional multiples - include if data available
FCF Yield: =[LTM FCF]/[Market Cap]
PEG Ratio: =[P/E]/[Growth Rate %]

相互参照のルール

重要: 評価倍率は必ず事業指標の区画を参照します。同じ生データを二度入力してはいけません。売上高が C7 にあるなら、EV/Revenue の数式は C7 を参照します。

統計のブロック

事業指標の区画と同じ構成です。すべての指標について Max、75th、Median、25th、Min を置きます。企業データと統計の行のあいだには空行を1行入れて区切ります。「VALUATION STATISTICS」という見出し行は足さないでください。


セクション4: 注記と手法の記録

必ず入れる要素

データの出所と品質:

  • データはどこから来たか(S&P Kensho MCP、FactSet MCP、Daloopa MCP、Bloomberg、SEC 提出書類)
  • どの期間を対象にしているか(2024年第4四半期、監査済みの数値)
  • どう検証したか(10-K/10-Q と突き合わせた)
  • 補足: 精度と来歴の追跡のため、使えるなら MCP のデータソース(S&P Kensho、FactSet、Daloopa)を優先します

用語の定義:

  • EBITDA の計算方法(売上総利益 + D&A か、営業利益 + D&A か)
  • フリーキャッシュフローの式(営業CF - 設備投資)
  • 特殊な指標の説明(Rule of 40、FCF Conversion)
  • 期間の定義(LTM、CAGR の計算期間)

バリュエーションの手法:

  • 企業価値をどう計算したか(時価総額 + 純有利子負債)
  • どの成長率を使ったか(過去の CAGR、将来の見込み)
  • 何か調整したか(一時的な項目の除外、マージンの正常化)

分析の枠組み:

  • 投資の仮説は何か(クラウド/SaaS の効率)
  • いちばん重要な指標はどれか(現金の創出、資本効率)
  • 統計をどう読めばいいか(四分位が文脈を与えます)

セクション5: 指標の選び方(判断の枠組み)

まず「自分はどの問いに答えようとしているのか」から始めます

「どの企業が割安か」 → 重視する: EV/Revenue、EV/EBITDA、P/E、時価総額 → 省く: 細かい事業指標、成長の指標

「どの企業がいちばん効率的か」 → 重視する: 売上総利益率、EBITDA マージン、FCF マージン、総資産回転率 → 省く: 規模の指標、実額

「どの企業がいちばん速く伸びているか」 → 重視する: 売上高成長率 %、EBITDA の CAGR、ユーザー/顧客数の伸び → 省く: マージンの指標、レバレッジの比率

「いちばん現金を生んでいるのはどこか」 → 重視する: フリーキャッシュフロー、FCF マージン、FCF Conversion、設備投資の重さ → 省く: EBITDA、PER

業界ごとの指標の選び方

ソフトウェア/SaaS: 必須: 売上高成長率、売上総利益率、Rule of 40 任意: ARR、ネットレベニューリテンション、CAC 回収期間 省く: 総資産回転率、棚卸資産の指標

製造業/資本財: 必須: EBITDA マージン、総資産回転率、設備投資 / 売上高 任意: ROA、棚卸資産回転率、受注残 省く: Rule of 40、SaaS 向けの指標

金融: 必須: ROE、ROA、経費率、P/E 任意: 純金利マージン、貸倒引当金 省く: 売上総利益率、EBITDA(銀行では意味を持ちません)

小売/EC: 必須: 売上高成長率、売上総利益率、棚卸資産回転率 任意: 既存店売上高、顧客獲得コスト 省く: 研究開発や設備投資の重い指標

「5-10 の目安」

事業指標を5つ - 売上高、成長率、マージンや効率の指標を2〜3個 評価指標を5つ - 時価総額、企業価値、倍率を3個 = 合計10列 - 話を伝えるには十分で、筋を見失うほど多くはありません

指標が15個を超えているなら、たぶん雑音が混じっています。容赦なく削ってください。


セクション6: 良い進め方と品質チェック

始める前に

  1. 比較対象を決める - 本当に比較できる企業だけを選びます(事業モデル、規模、地域が近いこと)
  2. 期間を選ぶ - LTM は季節性をならし、四半期は流れを見せます
  3. 単位を先に決める - 百万か十億かで、その後すべてが変わります
  4. データの出所を整理する - どの数字がどこから来たかを把握します

組み立てながら

  1. まず生データを全部入れる - 数式を書く前に、青い文字の部分を埋め切ります
  2. べた書きした入力セルには必ずコメントを付ける - セルを右クリック → コメントの挿入 で、出所か前提を記録します

出所のあるデータは、どこから来たかを正確に書きます:

  • 例: 「Bloomberg Terminal - MSFT Equity DES、2024-10-02 取得」
  • 例: 「2024年第4四半期 10-K、42ページ、項目 'Total Revenue'」
  • 例: 「FactSet コンセンサス予想、2024-10-02 時点」
  • 可能ならリンクも付けます: セルを右クリック → リンク で、SEC 提出書類やデータ提供元、レポートの URL を貼ります

前提の場合は、その理由を書きます:

  • 例: 「同業他社の中央値をもとに EBITDA マージンを 15% と仮定。会社は開示していない」
  • 例: 「企業価値を 時価総額 + 純有利子負債 5,000万ドル と推定(第3四半期の貸借対照表より。第4四半期は未公表)」
  • 例: 「予想 PER は市場コンセンサスの EPS 3.45ドル(アナリスト12名の平均)に基づく」

なぜ大事か: 来歴をたどれるようにし、データを検証でき、前提が見え、あとから更新しやすくなります

  1. 数式は1行ずつ組む - 次に進む前に、各計算を確かめます
  2. 見出しには絶対参照を使う - $C$6 で見出し行を固定します
  3. 書式をそろえる - パーセントは小数ではなくパーセントとして表示します
  4. 条件付き書式を足す - 外れ値が自動で目立つようにします

妥当性のチェック

  • マージンの検算: 売上総利益率 > EBITDA マージン > 純利益率(定義上、常にこうなります)
  • 倍率が無理のない水準か:
    • EV/Revenue: おおむね 0.5〜20x(業界によって大きく振れます)
    • EV/EBITDA: おおむね 8〜25x(業界をまたいでも比較的そろいます)
    • P/E: おおむね 10〜50x(成長率によります)
  • 成長率と倍率の関係: 成長が速いほど倍率も高いのがふつうです
  • 規模と効率の関係: 規模の大きい企業ほどマージンが良い傾向があります(規模の経済)

やりがちな失敗

❌ 数式のなかで時価総額と企業価値を混ぜる ❌ 分子と分母で期間が違う(LTM と四半期の混在) ❌ セル参照ではなく数値を数式にべた書きする ❌ べた書きの入力に、出所を示すか前提を説明するセルのコメントが付いていない ❌ SEC 提出書類やデータ元へのリンクを付けられるのに付けていない ❌ 目的のはっきりしない指標を詰め込みすぎる ❌ 比較にならない企業(事業モデルが違う)を混ぜる ❌ 古いデータを、古いと断らずに使う ❌ パーセントの平均を誤った方法で出す(中央値を使うべきです)


セクション6: 進んだ使い方

中身がわかる見出し

計算値を載せる列では、単位がわかるラベルを付けます。

Revenue Growth (YoY) % | EBITDA Margin | FCF Margin | Rule of 40

四分位分析の利点

平均や中央値だけでなく、四分位を見るとこうしたことがわかります。

  • 75パーセンタイル = 「プレミアム」企業がここで取引されている
  • 中央値 = 市場のふつうの評価
  • 25パーセンタイル = 「ディスカウント」の領域

これで「対象企業は同業他社に比べて割高か割安か」に答えられます。

業界ごとの調整

ソフトウェア/SaaS:

  • 足す: ARR、ネットレベニューリテンション、CAC 回収期間
  • 重視する: Rule of 40、FCF マージン、70% を超える売上総利益率

ヘルスケア:

  • 足す: 研究開発費 / 売上高、パイプラインの価値、規制の状況
  • 重視する: EBITDA マージン、成長率、償還のリスク

資本財:

  • 足す: 受注残、受注の動向、地域構成
  • 重視する: ROIC、総資産回転率、景気循環の調整

消費財:

  • 足す: 既存店売上高、顧客獲得コスト、ブランド価値
  • 重視する: 売上高成長率、売上総利益率、棚卸資産回転率

セクション7: 進め方と実務のコツ

手順

  1. 構造を組む(30分)
  • 見出しをすべて作ります
  • セルの書式を整えます(入力は青、数式は黒)
  • 単位と日付の基準を固定します
  1. データを集める(60〜90分)
  • 一次情報から取ります(使えるなら S&P Kensho MCP、FactSet MCP、Daloopa MCP。なければ Bloomberg、SEC)
  • 生の数値をすべて青い文字で入れます
  • 出所を注記の区画に記録します
  1. 数式を組む(30分)
  • 単純な比率(マージン)から始めます
  • 倍率(EV/Revenue)へ進みます
  • 検算を足します(マージンは筋が通っているか)
  1. 統計を足す(15分)
  • 数式の形をすべての列にコピーします
  • 範囲が正しいか確かめます(B7:B10 ではなく B7:B9)
  • 四分位のロジックを確認します
  1. 品質管理(30分)
  • 妥当性のチェックを走らせます
  • 数式の参照を確かめます
  • #DIV/0! や #REF! のエラーがないか確認します
  • 既知のベンチマークと突き合わせます
  1. 記録(15分)
  • 注記の区画を仕上げます
  • データの出所を書きます
  • 手法を定義します
  • 分析の日付を入れます

実務のコツ

  • テンプレートを残す: 一度作れば、あとはずっと使えます
  • 外れ値を色分けする: 標準偏差2つ分を超える値に条件付き書式を当てます
  • 元のファイルにリンクする: Bloomberg のスクリーンショットや SEC 提出書類へリンクを張ります
  • 版を管理する: 「Comps_v1_2024-12-15」のように日付を入れて保存します
  • 他の人に見てもらう: 数式は誰かにチェックしてもらいます

Excel の書式チェックリスト(任意 — 利用者の好みに合わせて調整します)

  • [ ] フォントを利用者の好みに設定した(既定: Times New Roman、データ 11pt、見出し 12pt)
  • [ ] 区画見出しを利用者のテンプレートに合わせた(既定: 濃い青 #17365D に白の太字)
  • [ ] 列見出しを利用者のテンプレートに合わせた(既定: 淡い青/グレー #D9E2F3 に黒の太字)
  • [ ] 統計の行を利用者のテンプレートに合わせた(既定: 淡いグレー #F2F2F2)
  • [ ] 罫線を使っていない(すっきりした見た目)
  • [ ] 列幅をすべて同じにした(整った見た目になります)
  • [ ] 行の高さをそろえた(データ行はおおむね 20〜25pt)
  • [ ] 数値の小数桁と桁区切りを正しく設定した
  • [ ] 指標をすべて中央そろえにした
  • [ ] 企業データと統計の行のあいだに空行を1行入れた
  • [ ] 「SECTOR STATISTICS」「VALUATION STATISTICS」の見出し行を別に作っていない
  • [ ] べた書きの入力セルすべてに、(1) 正確な出所か (2) 前提の説明のどちらかのコメントを付けた
  • [ ] 該当するセルにリンクを付けた(SEC EDGAR の提出書類、データ提供元のページ、レポート)

セクション8: テンプレートのレイアウト例

シンプルな版(まずはここから): <!-- ascii-guard-ignore -->

┌─────────────────────────────────────────────────────────────┐
│ TECHNOLOGY - COMPARABLE COMPANY ANALYSIS                    │
│ Microsoft • Alphabet • Amazon                               │
│ As of Q4 2024 | All figures in USD Millions                │
├─────────────────────────────────────────────────────────────┤
│ OPERATING METRICS                                           │
├──────────┬─────────┬─────────┬──────────┬──────────────────┤
│ Company  │ Revenue │ Growth  │ Gross    │ EBITDA  │ EBITDA │
│          │ (LTM)   │ (YoY)   │ Margin   │ (LTM)   │ Margin │
├──────────┼─────────┼─────────┼──────────┼─────────┼────────┤
│ MSFT     │ 261,400 │ 12.3%   │ 68.7%    │ 205,100 │ 78.4%  │
│ GOOGL    │ 349,800 │ 11.8%   │ 57.9%    │ 239,300 │ 68.4%  │
│ AMZN     │ 638,100 │ 10.5%   │ 47.3%    │ 152,600 │ 23.9%  │
│          │         │         │          │         │        │ [blank row]
│ Median   │ =MEDIAN │ =MEDIAN │ =MEDIAN  │ =MEDIAN │=MEDIAN │
│ 75th %   │ =QUART  │ =QUART  │ =QUART   │ =QUART  │=QUART  │
│ 25th %   │ =QUART  │ =QUART  │ =QUART   │ =QUART  │=QUART  │
├─────────────────────────────────────────────────────────────┤
│ VALUATION MULTIPLES                                         │
├──────────┬──────────┬──────────┬──────────┬────────────────┤
│ Company  │ Mkt Cap  │ EV       │ EV/Rev   │ EV/EBITDA │ P/E│
├──────────┼──────────┼──────────┼──────────┼───────────┼────┤
│ MSFT     │3,550,000 │3,530,000 │ 13.5x    │ 17.2x     │36.0│
│ GOOGL    │2,030,000 │1,960,000 │  5.6x    │  8.2x     │24.5│
│ AMZN     │2,226,000 │2,320,000 │  3.6x    │ 15.2x     │58.3│
│          │          │          │          │           │    │ [blank row]
│ Median   │ =MEDIAN  │ =MEDIAN  │ =MEDIAN  │ =MEDIAN   │=MED│
│ 75th %   │ =QUART   │ =QUART   │ =QUART   │ =QUART    │=QRT│
│ 25th %   │ =QUART   │ =QUART   │ =QUART   │ =QUART    │=QRT│
└──────────┴──────────┴──────────┴──────────┴───────────┴────┘

<!-- ascii-guard-ignore-end -->

複雑にするのは必要になってからです:

  • 季節性が効くなら四半期と LTM の両方を入れます
  • 現金の創出が話の中心なら FCF の指標を足します
  • 業界固有の指標を入れます(SaaS の Rule of 40 など)
  • 対象企業が5社を超えるなら統計の行を増やします

セクション9: 業界ごとの追加項目(任意)

分析にどうしても必要なときだけ足してください。たいていの比較表は中心的な指標だけで十分に成立します。

ソフトウェア/SaaS: 関係があれば足す: ARR、ネットレベニューリテンション、Rule of 40

金融: 関係があれば足す: ROE、純金利マージン、経費率

EC: 関係があれば足す: 流通総額、テイクレート、購入者数

ヘルスケア: 関係があれば足す: 研究開発費 / 売上高、パイプラインの価値、特許の期限

製造業: 関係があれば足す: 総資産回転率、棚卸資産回転率、受注残


セクション10: 危険信号

データの品質の問題

🚩 期間がそろっていない(四半期と通期の混在) 🚩 説明のないデータの欠落 🚩 情報源によって数字が大きく違う(10% 超のずれ)

バリュエーションの危険信号

🚩 EBITDA が赤字の企業を EBITDA 倍率で評価している(売上高倍率を使ってください) 🚩 超高成長の裏づけがないのに PER が 100x を超えている 🚩 その業界としては筋の通らないマージン

比較可能性の問題

🚩 決算期がばらばら(時期のずれが問題になります) 🚩ixing pure-play and conglomerates 🚩 事業モデルが大きく違うのに「比較対象」と呼んでいる

迷ったらその企業は外してください。 怪しい比較対象6社より、確かな3社のほうが良い結果になります。


セクション11: 数式の早見表

よく使う Excel の関数

// Statistical Functions
=AVERAGE(range)          // Simple mean
=MEDIAN(range)           // Middle value
=QUARTILE(range, 1)      // 25th percentile
=QUARTILE(range, 3)      // 75th percentile
=MAX(range)              // Maximum value
=MIN(range)              // Minimum value
=STDEV.P(range)          // Standard deviation

// Financial Calculations
=B7/C7                   // Simple ratio (Margin)
=SUM(B7:B9)/3            // Average of multiple companies
=IF(B7>0, C7/B7, "N/A")  // Conditional calculation
=IFERROR(C7/D7, 0)       // Handle divide by zero

// Cross-Sheet References
='Sheet1'!B7             // Reference another sheet
=VLOOKUP(A7, Table1, 2)  // Lookup from data table
=INDEX(MATCH())          // Advanced lookup

// Formatting
=TEXT(B7, "0.0%")        // Format as percentage
=TEXT(C7, "#,##0")       // Thousands separator

よく使う比率の式

Gross Margin = Gross Profit / Revenue
EBITDA Margin = EBITDA / Revenue
FCF Margin = Free Cash Flow / Revenue
FCF Conversion = FCF / Operating Cash Flow
ROE = Net Income / Shareholders' Equity
ROA = Net Income / Total Assets
Asset Turnover = Revenue / Total Assets
Debt/Equity = Total Debt / Shareholders' Equity

大事な原則のまとめ

  1. 構造が洞察を生む - 正しい見出しが正しい思考を導きます
  2. 少ないほど良い - 意味のある指標5〜10個は、意味のない20個に勝ります
  3. 問いに合わせて指標を選ぶ - バリュエーションの分析と効率の分析は別ものです
  4. 統計はパターンを見せる - 中央値と四分位は平均より多くを語ります
  5. 複雑さより透明さ - 誰にでもわかる単純な数式にします
  6. 比較可能性がすべて - 無理に比較対象にするくらいなら外します
  7. 選んだ理由を残す - どの指標をなぜ選んだかを注記の区画に書きます

仕上げのチェックリスト

比較分析を渡す前に、次を確認します。

  • [ ] すべての企業が本当に比較できる相手である
  • [ ] データの期間がそろっている
  • [ ] 単位がはっきり書かれている(百万/十億)
  • [ ] 数式がセルを参照していて、数値のべた書きがない
  • [ ] べた書きの入力セルすべてに、(1) 出典付きの正確な出所か (2) 説明付きの明確な前提のどちらかのコメントがある
  • [ ] 該当箇所にリンクを付けた(SEC EDGAR の提出書類、Bloomberg のページ、調査レポート)
  • [ ] 統計が5つの指標を含んでいる(Max、75th、Med、25th、Min)
  • [ ] 注記の区画に出所と手法が書かれている
  • [ ] 見た目が決めごとに沿っている(青 = 入力、黒 = 数式)
  • [ ] 妥当性のチェックが通っている(マージンが筋の通った並び、倍率が無理のない水準)
  • [ ] 日付が最新である(「As of [Date]」)
  • [ ] 数式の監査でエラーが出ていない(#DIV/0!、#REF!、#N/A)

次に活かす

比較分析を終えたら、次を振り返ってください。

  1. 統計から思いがけない発見はあったか
  2. 分析を狭めてしまうデータの欠落はなかったか
  3. 入れていない指標を関係者から求められなかったか
  4. 実際にかかった時間と、本来かかるべき時間はどうだったか
  5. 次はどうすればもっと役に立つものになるか

良い比較分析は、回を重ねるごとに育ちます。テンプレートを残し、もらった意見から学び、意思決定者が実際に使うものに合わせて構造を磨いてください。

データの取得先 — まず MCP、なければ Web

以下の記述には「S&P Kensho MCP / Daloopa MCP / FactSet MCP を使う」という箇所が多く出てきます。これらは元の Cowork プラグインの文脈にあった商用の金融データ MCP です。Hermes では次のように扱ってください。

  • 構造化された金融データの MCP を設定してあるなら(Hermes は MCP に対応しています。native-mcp skill を参照)、時点比較、過去の取引事例、提出書類の取得にはそちらを優先します。
  • そうでなければ、次の順で代替します。
    • 米国の提出書類は web_search / web_extract で SEC EDGAR(https://www.sec.gov/cgi-bin/browse-edgar)を当たります
    • プレスリリースや決算資料は企業の IR ページを見ます
    • 対話型のデータポータルには browser_navigate を使います
    • 利用者から提供されたデータを使います(文脈にない場合は、はっきり尋ねてください)
  • 決して作り話をしないでください。倍率、過去事例、提出書類の数値の出所を示せないときは、そのセルを [UNSOURCED] と印を付けて利用者に伝えます。

出典

この skill は Anthropic の Claude for Financial Services プラグイン群(Apache-2.0)を移植したものです。Office-JS / Cowork の Excel 直接操作の経路は取り除いてあり、この版は excel-author skill の流儀に沿ってヘッドレスの openpyxl を対象にしています。元の実装: https://github.com/anthropics/financial-services