Mattermost の設定
目次
- Hermes の振る舞い
- Mattermost でのセッションの考え方
- ステップ 1: ボットアカウントを有効にする
- ステップ 2: ボットアカウントを作る
- ステップ 3: ボットをチャンネルに追加する
- ステップ 4: 自分の Mattermost ユーザー ID を調べる
- ステップ 5: Hermes Agent を設定する
- やり方 A: 対話式の設定(おすすめ)
- やり方 B: 手で設定する
- ゲートウェイを起動する
- ホームチャンネル
- スラッシュコマンドで設定する
- 手で設定する
- 返信の形式
- メンションの扱い
- チャンネルの許可リスト(allowed_channels)
- 困ったときは
- ボットがメッセージに返事をしない
- 403 Forbidden が出る
- WebSocket が切れる/つなぎ直しを繰り返す
- 起動時に "Failed to authenticate" が出る
- ボットがオフラインになっている
- "User not allowed" と出る/ボットに無視される
- チャンネルごとのプロンプト
- セキュリティ
- 補足
Hermes Agent は Mattermost にボットとして加わり、ダイレクトメッセージやチームのチャンネルから AI アシスタントと話せるようにします。Mattermost は自分のサーバーに置いて動かせるオープンソースの Slack 代替で、自前の設備で運用するぶん、データを最後まで自分の手に残せます。ボットは Mattermost の REST API(v4)でやり取りし、WebSocket でその場の出来事を受け取り、届いたメッセージを Hermes Agent の処理の流れ(ツールの利用、記憶、推論を含みます)に通して、すぐに返事を返します。文章、添付ファイル、画像、スラッシュコマンドに対応します。
Mattermost 用の外部ライブラリは要りません。アダプターが使う aiohttp は、すでに Hermes が依存しているものです。
設定の話に入る前に、多くの人が真っ先に知りたいところを見ておきます。Mattermost に入れたあと、Hermes がどう振る舞うかです。
Hermes の振る舞い
| 場面 | 振る舞い |
|---|---|
| DM | Hermes はすべてのメッセージに返事をします。@mention は要りません。DM ごとに別のセッションになります。 |
| 公開/非公開チャンネル | @mention を付けたときに Hermes が返事をします。付けないメッセージは無視します。 |
| スレッド | MATTERMOST_REPLY_MODE=thread にすると、Hermes は元のメッセージの下にスレッドで返します。スレッドの文脈は、親のチャンネルとは切り離されたままになります。 |
| 複数人がいる共有チャンネル | 初期状態では、Hermes はチャンネルの中でも利用者ごとにセッションの履歴を分けます。同じチャンネルで話している二人が同じ記録を共有することはありません(自分で切らないかぎり)。 |
Mattermost でのセッションの考え方
初期状態では、次のようになります。
- DM ごとに別のセッションになります
- スレッドごとに別のセッションの区画ができます
- 共有チャンネルでは、利用者ごとにそのチャンネル内で別のセッションを持ちます
これは config.yaml で決まります。
group_sessions_per_user: trueチャンネル全体でひとつの会話を共有したいと明確に望むときだけ、false にしてください。
group_sessions_per_user: false共有セッションは共同作業のチャンネルでは便利ですが、次のことも意味します。
- 文脈の増え方とトークンの費用を、利用者どうしで分け合うことになります
- 誰かの長いツール中心の作業が、ほかの全員の文脈をふくらませます
- 誰かの実行中の処理が、同じチャンネルにいる別の人の追加の問いかけを遮ることがあります
このページでは、Mattermost でボットを作るところから最初のメッセージを送るところまで、設定の流れを一通りたどります。
ステップ 1: ボットアカウントを有効にする
ボットを作るには、その前に Mattermost サーバー側でボットアカウントを有効にしておく必要があります。
- システム管理者 として Mattermost にログインします。
- システムコンソール → 連携機能 → ボットアカウント を開きます。
- ボットアカウントの作成を有効にする を true にします。
- 保存 をクリックします。
ステップ 2: ボットアカウントを作る
- Mattermost で ☰ メニュー(左上)→ 連携機能 → ボットアカウント をクリックします。
- ボットアカウントを追加 をクリックします。
- 次の項目を埋めます。
- ユーザー名: 例
hermes - 表示名: 例
Hermes Agent - 説明: 任意
- 役割:
Memberで足ります
- ボットアカウントを作成 をクリックします。
- Mattermost が ボットトークン を表示します。すぐに控えてください。
トークンは安全な場所(たとえばパスワード管理ソフト)に保管してください。ステップ 5 で使います。
ステップ 3: ボットをチャンネルに追加する
ボットに返事をさせたいチャンネルには、ボットを参加させておく必要があります。
- ボットを入れたいチャンネルを開きます。
- チャンネル名 → メンバーを追加 をクリックします。
- ボットのユーザー名(例
hermes)を探して追加します。
DM の場合は、ボットとのダイレクトメッセージを開くだけで、すぐに返事ができるようになります。
ステップ 4: 自分の Mattermost ユーザー ID を調べる
Hermes Agent は、誰がボットとやり取りできるかを Mattermost のユーザー ID で管理します。調べ方は次のとおりです。
- アバター(左上)→ プロフィール をクリックします。
- プロフィールのダイアログにユーザー ID が表示されます。クリックすると控えられます。
ユーザー ID は 3uo8dkh1p7g1mfk49ear5fzs5c のような 26 文字の英数字です。
別のやり方: API からユーザー ID を取ることもできます。
curl -H "Authorization: Bearer YOUR_TOKEN" \
https://your-mattermost-server/api/v4/users/me | jq .idステップ 5: Hermes Agent を設定する
やり方 A: 対話式の設定(おすすめ)
案内に沿って進むコマンドを実行します。
hermes gateway setup聞かれたら Mattermost を選び、続けてサーバーの URL、ボットトークン、ユーザー ID を入力します。
やり方 B: 手で設定する
~/.hermes/.env に次の内容を書き足します。
# Required
MATTERMOST_URL=https://mm.example.com
MATTERMOST_TOKEN=***
MATTERMOST_ALLOWED_USERS=3uo8dkh1p7g1mfk49ear5fzs5c
# Multiple allowed users (comma-separated)
# MATTERMOST_ALLOWED_USERS=3uo8dkh1p7g1mfk49ear5fzs5c,8fk2jd9s0a7bncm1xqw4tp6r3e
# Optional: reply mode (thread or off, default: off)
# MATTERMOST_REPLY_MODE=thread
# Optional: respond without @mention (default: true = require mention)
# MATTERMOST_REQUIRE_MENTION=false
# Optional: channels where bot responds without @mention (comma-separated channel IDs)
# MATTERMOST_FREE_RESPONSE_CHANNELS=channel_id_1,channel_id_2~/.hermes/config.yaml で調整できる、任意の振る舞いの設定です。
group_sessions_per_user: truegroup_sessions_per_user: trueにすると、共有チャンネルやスレッドの中でも参加者ごとに文脈が分かれたままになります
ゲートウェイを起動する
設定が終わったら、Mattermost のゲートウェイを起動します。
hermes gateway数秒のうちに、ボットが Mattermost サーバーにつながるはずです。DM でも、ボットを追加したチャンネルでもかまわないので、メッセージを送って試してみてください。
ホームチャンネル
ボットが自分から送るメッセージ(cron の実行結果、リマインダー、通知など)の届け先として、「ホームチャンネル」を決められます。設定の仕方は二つあります。
スラッシュコマンドで設定する
ボットがいる Mattermost のチャンネルで /sethome と打ちます。そのチャンネルがホームチャンネルになります。
手で設定する
~/.hermes/.env に次の行を足します。
MATTERMOST_HOME_CHANNEL=abc123def456ghi789jkl012mnID の部分は、実際のチャンネル ID に置き換えてください(チャンネル名 → 情報を表示 → ID を控える)。
返信の形式
MATTERMOST_REPLY_MODE は、Hermes が返事をどう投稿するかを決めます。
| 形式 | 振る舞い |
|---|---|
off(初期値) |
ふつうの利用者と同じように、チャンネルにそのままメッセージを流します。 |
thread |
元のメッセージの下にスレッドで返します。やり取りが多いときでもチャンネルが散らかりません。 |
~/.hermes/.env で設定します。
MATTERMOST_REPLY_MODE=threadメンションの扱い
初期状態では、チャンネルの中でボットが返事をするのは @mentioned されたときだけです。これは変えられます。
| 変数 | 初期値 | 説明 |
|---|---|---|
MATTERMOST_REQUIRE_MENTION |
true |
false にすると、チャンネル内のすべてのメッセージに返事をします(DM はいつでも動きます)。 |
MATTERMOST_FREE_RESPONSE_CHANNELS |
_(なし)_ | @mention なしでもボットが返事をするチャンネル ID を、カンマ区切りで並べます。require_mention が true でも、ここに挙げたチャンネルでは返事をします。 |
Mattermost でチャンネル ID を調べるには、そのチャンネルを開き、見出しのチャンネル名をクリックして、URL かチャンネルの詳細に出ている ID を探します。
ボットが @mentioned されたとき、メンションの部分は処理に入る前に自動で取り除かれます。
チャンネルの許可リスト(allowed_channels)
ボットが動く Mattermost のチャンネルを、決まったいくつかに絞ります。設定すると、ボットが返事をするのはリストに ID があるチャンネル だけ になります。ほかのチャンネルから来たメッセージは、@mentioned されていても黙って捨てられます。
DM はこの絞り込みの対象外 なので、許可された利用者はいつでもダイレクトメッセージでボットに届きます。
mattermost:
allowed_channels:
- "abc123def456ghi789jkl012mno" # #ops
- "xyz987uvw654rst321opq098nml" # #incident-response環境変数(カンマ区切り)でも設定できます。
MATTERMOST_ALLOWED_CHANNELS="abc123def456ghi789jkl012mno,xyz987uvw654rst321opq098nml"振る舞いは次のとおりです。
- 空、または未設定 → 制限なし(これまでどおり動きます)。
- 中身がある → チャンネル ID がリストにあることが必要です。なければ、ほかの判定(メンションの要否、
MATTERMOST_FREE_RESPONSE_CHANNELSなど)に進む前にメッセージが捨てられます。 - チャンネル ID は Mattermost の画面 → チャンネルの見出し → 「情報を表示」から調べるか、チャンネルの URL から読み取ります。
あわせて読む: 管理者用と利用者用に分かれたスラッシュコマンド。
困ったときは
ボットがメッセージに返事をしない
原因: ボットがそのチャンネルに参加していないか、MATTERMOST_ALLOWED_USERS に自分のユーザー ID が入っていません。
対処: ボットをチャンネルに追加します(チャンネル名 → メンバーを追加 → ボットを探す)。自分のユーザー ID が MATTERMOST_ALLOWED_USERS にあるか確かめます。そのうえでゲートウェイを起動しなおします。
403 Forbidden が出る
原因: ボットトークンが無効か、そのチャンネルに投稿する権限がボットにありません。
対処: .env の MATTERMOST_TOKEN が正しいか確かめます。ボットアカウントが無効化されていないかも見てください。ボットがチャンネルに追加されているかも確かめます。パーソナルアクセストークンを使っている場合は、自分のアカウントに必要な権限があるかを確かめてください。
WebSocket が切れる/つなぎ直しを繰り返す
原因: 回線が不安定、Mattermost サーバーの再起動、あるいはファイアウォールやプロキシが WebSocket をうまく通していません。
対処: アダプターは待ち時間を延ばしながら自動でつなぎ直します(2 秒 → 60 秒)。サーバー側の WebSocket まわりの設定も見てください。リバースプロキシ(nginx、Apache)には WebSocket の upgrade ヘッダーの設定が必要です。Mattermost サーバーで WebSocket の通信がファイアウォールに止められていないかも確かめます。
nginx なら、設定に次の内容が入っていることを確かめてください。
location /api/v4/websocket {
proxy_pass http://mattermost-backend;
proxy_set_header Upgrade $http_upgrade;
proxy_set_header Connection "upgrade";
proxy_read_timeout 600s;
}起動時に "Failed to authenticate" が出る
原因: トークンかサーバーの URL が違います。
対処: MATTERMOST_URL が自分の Mattermost サーバーを指しているか確かめます(https:// を付け、末尾のスラッシュは付けません)。MATTERMOST_TOKEN が有効かは curl で試せます。
curl -H "Authorization: Bearer YOUR_TOKEN" \
https://your-server/api/v4/users/meボットの利用者情報が返ってくればトークンは有効です。エラーが返るなら、トークンを作り直してください。
ボットがオフラインになっている
原因: Hermes のゲートウェイが動いていないか、接続に失敗しています。
対処: hermes gateway が動いているか確かめます。端末の出力にエラーが出ていないか見てください。よくあるのは、URL の間違い、期限切れのトークン、Mattermost サーバーに届かない、といったところです。
"User not allowed" と出る/ボットに無視される
原因: 自分のユーザー ID が MATTERMOST_ALLOWED_USERS に入っていません。
対処: ~/.hermes/.env の MATTERMOST_ALLOWED_USERS に自分のユーザー ID を足して、ゲートウェイを起動しなおします。ユーザー ID は @username ではなく 26 文字の英数字であることを忘れないでください。
チャンネルごとのプロンプト
特定の Mattermost チャンネルに、その場かぎりのシステムプロンプトを割り当てられます。プロンプトは毎回のやり取りのときに差し込まれ、会話の記録には残らないので、変更はすぐに効きます。
mattermost:
channel_prompts:
"channel_id_abc123": |
You are a research assistant. Focus on academic sources,
citations, and concise synthesis.
"channel_id_def456": |
Code review mode. Be precise about edge cases and
performance implications.キーは Mattermost のチャンネル ID です(チャンネルの URL か API から調べられます)。当てはまるチャンネルのすべてのメッセージに、その場かぎりのシステム指示としてプロンプトが差し込まれます。
セキュリティ
Hermes Agent を安全に運用する方法については、セキュリティのご案内も見てください。
補足
- 自前のサーバーと相性がよい: 自分で立てた Mattermost なら、どれでも動きます。Mattermost Cloud のアカウントや契約は要りません。
- 追加の依存関係なし: アダプターは HTTP と WebSocket に
aiohttpを使いますが、これは Hermes Agent にすでに入っています。 - Team Edition でも動く: Mattermost の Team Edition(無償)でも Enterprise Edition でも動きます。